ComfyUIで「映像と音声を同時に」生成できるオープンモデルLTX(LTX-2.3)を、GGUF量子化モデルで動かすシンプルなワークフローを解説します。1枚の画像とプロンプトを渡すだけで、効果音や環境音付きの短い動画が作れます。
この記事で扱うワークフローは LTXV23_v1_4_I2AV.json(Image to Audio-Video)です。ノード数が少なく、構成を理解しやすいのが特徴です。
目次の目安
LTXとは何か
LTXは、イスラエルのLightricks社が公開しているオープンウェイトの動画生成モデルシリーズです。現行のLTX-2.3は約22Bパラメータの「DiT(Diffusion Transformer)ベースの音声・映像基盤モデル」で、1つのモデルで映像と同期した音声を同時に生成できます。
- テキスト→動画、画像→動画、音声→動画など複数のモードに対応
- 重みが公開されており、ローカル(自分のPC)で実行できる
- ComfyUIが公式にネイティブ対応している
- テキストエンコーダーにGoogleのGemma 3 12Bを使用
- 2倍の空間アップスケーラーを使った高解像度化の仕組みがある
今回使うのは「Uncensored Turbo v1.4」
このワークフローが読み込むのは、公式のLTX-2.3そのものではなく、有志(ChrisColeTech氏)が公開しているLTX Video-2.3 Uncensored Turbo v1.4のGGUF版です。モデルカードによると、次の追加学習を重みに焼き込み(マージ)済みです。
- DMD蒸留LoRA(少ステップ化・指示追従の向上。強度1.0)
- LTX公式のIC-LoRA Detailer(参照画像への忠実度向上。強度0.6)
蒸留済みのため、8ステップ程度で生成できます(モデルカードでは最小4ステップ、推奨は8ステップ)。
【ご注意】このモデルはライセンス欄は「unknown」です。利用は自己責任で、お住まいの国の法律、各プラットフォームの規約、肖像権(実在人物の画像を使う場合)などに十分ご注意ください。公開・商用利用の前にはライセンスの確認をおすすめします。
MiniMax H3との違い
MiniMax H3(MiniMax-H3)は、MiniMaxAIが公開しているオープンな「オムニモーダル」動画生成モデルで、LTXと同じく映像と同期した音声を同時に生成できます。ComfyUIでも使えますが、モデルの規模や求められる環境がかなり違います。
| 項目 | LTX-2.3 | MiniMax H3 |
|---|---|---|
| 開発元 | Lightricks | MiniMaxAI |
| モデル規模 | 約22B | 約33B |
| テキストエンコーダー | Gemma 3 12B | Qwen3-VL 32B系 |
| VRAMの目安 | GGUFのQ4前後なら16GBクラスのGPUでも狙える | 大型で、80GB GPUなら余裕とされる。GGUF版や軽量版もあるが負荷は大きめ |
| 高速化 | 蒸留版・DMD LoRAで8ステップ前後 | Turbo LoRAで4〜8ステップ |
| 主な用途 | 画像→動画、テキスト→動画、音声→動画 | テキスト/最初・最後のフレーム/参照素材→動画 |
| ComfyUI対応 | ネイティブ対応 | ネイティブ対応(ComfyUI 0.30.0以降) |
まとめると、MiniMax H3は大きくて高品質を狙うモデル、LTXは軽く試しやすいモデルという位置づけです。一般的なゲーミングGPUで「音付き動画」を気軽に試すなら、GGUF化されたLTXが現実的です。ただし、画質や動きの良し悪しは用途やプロンプトで変わるため、数値や仕様はあくまで目安として、実際に自分の環境で比べてみてください。
ただ、MiniMax H3を有志の方が極限にまで軽量化したGGUF版よりLTXは現状より重くて作成も遅く、品質はMINIMAX計量版の方が高い印象です。
ワークフローの簡単な流れ
ワークフローは、大きく分けて次の6ステップです。
- モデルを読み込む(LTXV23ModelsLoader)
GGUFのDiTモデル、Gemma GGUFのテキストエンコーダー、Clip Projection、映像VAE、音声VAEを1つのノードでまとめて読み込みます。 - 元になる画像を用意する(LoadImage → ImageScale)
読み込んだ画像を736×416にリサイズ(lanczos、中央クロップ)します。この画像が動画の1フレーム目になります。 - プロンプトと動画設定を入れる(LTXV23ImgToVideo)
プロンプト、サイズ(736×416)、フレーム数(49)、フレームレート(24)などを指定します。ここで映像と音声のラテント(生成の元データ)が作られます。 - サンプリングする(LTXV23KSampler)
ステップ数8、CFG 3.5、サンプラーeuler_ancestral、プリセット「dmd (8 steps)」で生成します。 - アップスケールして復号する(サブグラフ LTXUpscaleLatent2VA)
映像と音声のラテントを分離し、映像側は2倍のスペーシャルアップスケーラーで拡大してからVAEデコード、音声側は音声VAEでデコードします。 - 動画として保存する(CreateVideo → SaveVideo)
映像と音声を24fpsで1本の動画にまとめて、video/ComfyUIに保存します。
主な設定値(このワークフローの初期値)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 解像度(生成時) | 736 × 416 |
| フレーム数 | 49(24fpsで約2秒) |
| フレームレート | 24 |
| ステップ数 | 8 |
| CFG | 3.5 |
| サンプラー | euler_ancestral |
| seed | randomize(毎回変わる) |
| アップスケール | 2倍(最終出力は理論上およそ1472×832) |
初期プロンプトの例
use this image as the starting frame. make him fly. full body shot. keep the character clothes and body consistent. one continuous shot.
「この画像を最初のフレームにして、人物を飛ばせる。全身ショット。服装と体型を維持。ワンカット」という内容です。音を出したい場合は、「engine rumble」「rain on asphalt」のように音の描写もプロンプトに書くと反映されやすくなります。
LoadAudioノードについて
ワークフローには音声読み込み(LoadAudio)ノードが入っていますが、初期状態ではバイパス(無効)になっています。そのため音声はプロンプトから生成されます。手持ちの音声を参照させたい場合は、このノードを有効にして音声ファイルを指定します。
使用モデル一覧とリンク
ワークフロー内のファイル名と、配置先・入手先は次のとおりです。
| 役割 | ファイル名 | サイズ目安 | 配置先 |
|---|---|---|---|
| DiT本体(GGUF) | ltxv23_uncensored_v1.4_Q4_K_M.gguf |
約14GB前後(※) | ComfyUI/models/diffusion_models |
| テキストエンコーダー(GGUF) | gemma-3-12b-it-ablit-norms-biproj-Q4_K_M.gguf |
約7.3GB | ComfyUI/models/text_encoders |
| Clip Projection | ltxv23_uncensored_v1.4_projections.safetensors |
約2.31GB | ComfyUI/models/text_encoders |
| 映像VAE | ltxv23_uncensored_v1.4_video_vae.safetensors |
約1.45GB | ComfyUI/models/vae |
| 音声VAE | ltxv23_uncensored_v1.4_audio_vae.safetensors |
約365MB | ComfyUI/models/vae |
| 空間アップスケーラー | ltx-2.3-spatial-upscaler-x2-1.0.safetensors |
約1GB | ComfyUI/models/latent_upscale_models |
※Q4_K_Mの正確なサイズは未確認です。同じ22B系のQ4_K_M(別モデル)が約14GB、Q6_Kが約17.8GBなので、その前後が目安です。
ダウンロード先リンク
- モデル配布ページ(DiT、テキストエンコーダー、Clip Projection、VAEは
splitフォルダ内):
ChrisColeTech/LTX-2.3-uncensored-v1.4-FP8(Hugging Face) - DiT(GGUF各量子化)のフォルダ:
split/diffusion_models - テキストエンコーダー(Gemma GGUF):
gemma-3-12b-it-ablit-norms-biproj-Q4_K_M.gguf - Clip Projection:
ltxv23_uncensored_v1.4_projections.safetensors - 映像VAE:
ltxv23_uncensored_v1.4_video_vae.safetensors - 音声VAE:
ltxv23_uncensored_v1.4_audio_vae.safetensors - 空間アップスケーラー(Lightricks公式):
ltx-2.3-spatial-upscaler-x2-1.0.safetensors(公式リポジトリには新しい1.1版もあります。使う場合はノードのモデル選択を切り替えてください)
リンク切れや移動があった場合は、上のモデル配布ページのsplitフォルダから探してください。Q4_K_M以外(Q3、Q5、Q6、Q8など)は、VRAMに合わせて選べます。
必要なカスタムノード
このワークフローの LTXV23ModelsLoader などは、通常のComfyUI-GGUFではなく、comfyui-gguf-loaderという別のカスタムノードに入っています。
- ChrisColeTech/ComfyUI-GGUF-Loader(GitHub)
- 導入方法:ComfyUI Managerを開き、チャンネルを「Channel (remote)」に変更 → 「comfyui-gguf-loader」を検索 → 最新ビルド(nightly)をインストール → ComfyUIを再起動
モデルカードにも「更新版のGGUF Loaderが必須」と明記されています。古いバージョンだと、ノードが赤くなったりモデルが読み込めなかったりします。
ComfyUIは最新バージョンが必要です
LTX-2.3の音声・映像対応や、MiniMax H3まわりの修正など、動画生成まわりの機能は頻繁に更新されています。古いComfyUIでは、LTXのノードが足りない、アップスケーラーが動かない、といった不具合が出やすくなります。
- ComfyUI本体を必ず最新版に更新してください(ComfyUI Managerの「Update ComfyUI」、またはデスクトップ版・ポータブル版の更新機能)
- 更新後は、ComfyUIを完全に再起動し、ブラウザもリロードしてください
- カスタムノード(comfyui-gguf-loaderなど)も同時に最新へ更新しておくと安心です
最新の更新内容は、公式のComfyUI Changelogで確認できます。また、LTX-2.3の公式ワークフローと配置の解説はComfyUI公式のLTX-2.3ガイドが参考になります。
使い方のコツと注意点
- フレーム数:LTX系は「8の倍数+1」(49、97、121など)が基本です。このワークフローの49は2秒程度なので、長くしたい場合は増やしてください(メモリ消費も増えます)。
- CFG:モデルカードでは1.0〜4.0が目安です。高めだと動きと音が増え、低めだと落ち着いた雰囲気になる傾向があるとされています。
- ステップ数:蒸留済みなので4〜8でも動きますが、品質重視なら8以上がおすすめです。
- 解像度:初期値は736×416と軽めです。VRAMに余裕があれば、サイズを大きくして試せます(アップスケーラーで2倍になる点も考慮してください)。
- 画像のサイズ:ImageScaleでクロップされるため、人物が端に寄った画像だと切れることがあります。構図の中央に主題がある画像が向いています。
- メモリ不足のとき:DiTをQ3系に下げる、フレーム数・解像度を下げる、などで調整します。
まとめ
LTX-2.3のGGUF版を使えば、比較的軽い環境でも「画像+プロンプト」から音付きの動画を作れます。今回のワークフローは、ローダー・画像変換・サンプラー・アップスケール・保存と構成がコンパクトなので、LTXの仕組みを理解する最初の一本としておすすめです。
動かない場合は、まず「ComfyUI本体の更新」「comfyui-gguf-loaderの最新化」「モデルの配置先とファイル名」の3点を確認してみてください。


